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活動レポート

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白井智子氏講演会

2003年06月28日 更新

◎日 時:
2003年6月28日(土)
18:30 ~ 20:30 (開場:18:00)

◎場 所:

くまもと県民交流館パレア9F  第1会議室

◎参加費:  1,500円

◎参加人数:  約100名

 

◇白井智子氏(しらいともこ)プロフィール

 

1972年生まれ。4~8歳までオーストラリアで過ごす。
東京大学法学部卒業後、松下政経塾に入塾し、教育改革をテーマに国内外の教育現場を調査。小学校に2ヶ月間「小学校5年生の転校生」になりすまして体験入学を行うなど、国内外を問わず100以上の学校を訪問し、様々な形で教育現場を研究。その結果、教育はシステムだけでなく現場の問題、という結論に至り、学校設立を決意する。
1999年4月、沖縄県に開校したフリースクールの立ち上げに参加。2年半校長を務める。現在は、独自の教育観を実践するため、「スマイルファクトリー」を主宰。勉強ギライ、学校ギライのこどもたちのサポート活動を行っている。
主な著書に、『明日をつかむがっこう 27歳、女性校長の挑戦』(ホーム社/集英社、2000年9月)がある。

 

#スマイルファクトリー http://www.smilefactory.jp/

 

悪天候のため、熊本行きの便が全便欠航するというアクシデントがあり、白井さんを乗せた飛行機は福岡空港に着陸。そこから熊本に向かってくれた白井さんは、トークライブ開始予定時刻から、約30分遅れて講演会場に到着しました。白井さんをずっと待っていた参加者の皆さんの温かい拍手に迎えられ、白井さんの息も十分に整わないうちに、トークライブは始まりました。

 

まず、白井さんが幼少の頃に過ごした、オーストラリアのことを話してくれました。オーストラリアは移民の国であり、あらゆる価値観が共存しているのだそうです。体が不自由な子や、肌の色が違う子がいて当たり前。一人一人の長所が、それぞれ違うのが当たり前。何種類という価値観があって当たり前だという国だから、学校の通知表に、子どもたちを評価する数字はどこにも見当たらなかったといいます。先生が、生徒一人一人の長所を評価し、誉め言葉のオンパレードだということでした。

 

ところが、帰国した白井さんを待っていたのは、勉強できる子だけが幸せになれるという、画一化された価値観でした。数字に表れる良い成績を取り、偏差値の高い学校へ行く子は幸せだけれども、勉強の成績以外に長所を持つ子たちは、その点を認められることもなく、幸せになれないと決めつけられている。白井さんは、子供ながらに、疑問を感じていたといいます。

 

月日がたち、大学生になった白井さんは、学生達が将来のビジョンを全く持っていないことに、とてもがっかりしました。彼らは将来何の職業に就きたいかは、漠然と決まっていても、どんな大人になりたいのか、どういう風に社会の役に立ちたいのか、というイメージを全く持っていなかったのです。白井さんは、それはまさしく、彼らが勉強できることが良いという価値観の上に敷かれたレールをたどってきた結果だと感じたそうです。しかし現在は、レールの上をきちんとたどっていても、幸せな未来が約束される時代ではありません。白井さんは、もっと多様な価値観があっていい、子供たち一人一人の長所を認め、勉強ができなくても幸せに生きていける力を伸ばしたい、と思うようになったそうです。

 

大学を卒業した白井さんは、松下政経塾に入塾し、全国の学校を見てまわりました。その中でも、2ヶ月間本当に小学5年生として小学校に入りこんだことが、その後の活動に大きな影響をもたらしたといいます。子供は大人が考えている以上に、大人のことを見て、真似しているそうです。学校では、先生の人柄を見抜き、本音と建前を見抜き、一挙手一投足をみつめ、その通りに行動するそうです。このような収穫を得、白井さんは小学校生活を終えました。その後、縁があって沖縄のフリースクールの校長に就任したのです。

 

全国から、様々な理由で公立の学校に行かなくなった子供たちが100人以上も集まり、フリースクールはスタートしました。白井さんは、彼らの過去を一切尋ねず、それぞれの長所を認め、彼らの話を否定せずに聞き、自分も本音で返すことを徹底したそうです。また、学校生活の中では、子供たちができることは全て子供たちに任せ、人の役に立っている意識や責任感、人から信頼されているという意識を持たせていったそうです。それでも、子供たちがすぐに変わるはずがなく、こうした活動の地道な繰り返しにより、徐々に信頼関係を築き、子供たちを良い方向に導いていったそうです。ただ、フリースクールの経営が軌道に乗り、名前も知られるようになってくると、欲が出てきてしまうのが大人たち。周りの大人たちと意見が合わなくなった時、白井さんはフリースクールの校長職を退きました。それは、決して白井さんの望んでいることではありませんでしたが。

 

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