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活動レポート

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不登校児サポート勉強会

2008年07月13日 更新

◎講 師: 宮津美光氏(NPO法人シティエンジェルス熊本代表理事)
◎日 時: 2008年7月13日(日) 10:00~12:00
◎場 所: 熊本市中央公民館
◎参加人数: 14名

 

◎事後レポート

 

◆内容◆

 

本日の不登校児サポート勉強会では、「NPO法人シティエンジェルスくまもと」代表理事の宮津美光氏をお招きして、様々な活動を通した子供たちとの関わりについてお話しをしていただきました。
長嶺でお好み焼き屋を営んでいる宮津さんは、学生のころから専門であった食物の流通に関することから、教育事業や子供たちのコミュニティー作りなど、様々な取り組みに参加されてきました。この活動を通して、現在の奥さんと出会い、結婚して5人もの子供をもうけています。宮津さんは子供ができたことをきっかけに、学校のPTAに入ったことから、PTAでの活動で子供たちの支援に積極的に取り組むようになります。

 

宮津さんのPTAにおける活動では、まず素行不良な生徒との話し合いの場を持つことから始まりました。PTA用の会議室を借りて、生徒とお茶を飲みながら雑談をする。生徒の夢や目標を聞いたり、生徒が興味を持っていることや、学校や友達について話しをすることで、それまで学校に来なかった生徒たちも宮津さんと話すことが楽しくなって、徐々に学校に登校するようになりはじめたそうです。さらに宮津さんは、学校・生徒を明るくするための「あいさつ運動」をはじめます。特に、素行不良な生徒のことを考えて、始業チャイムを30分過ぎてからの「あいさつ運動」に力をいれたそうです。この活動も功を奏し、宮津さんと話すことを楽しみに、生徒たちが学校へ来るようになったそうです。
残念ながら、この話し合いの場は、単に楽をするための生徒が集まる場となり、学校運営に支障が出るようになりはじめ、中止せざるを得なくなりました。そこで宮津さんは、PTAでの活動を生かし、他に子供たちのためにできることはないかと考え、別の活動に移行し始めます。

 

それが、現在「NPO法人シティエンジェルスくまもと」で行っている「洗車クラブ活動」です。この「洗車クラブ活動」とは、宮津さんが地域の小中学校や生協などの知り合いに頼んで、非行少年に車を洗車させるバイトをさせてもらう、というものです。1台500円という格安料金で、少年たちに本格的な固形ワックスがけまでを丁寧に行わせます。
この活動を通して、少年たちは地域から感謝されるようになります。子供たちは仕事をして、その行為が他人(大人)から感謝され、自分たちの存在や行為が社会に認められていくことで、自分に自信を持つようになったそうです。このような学校や生協などを含めた、地域ぐるみの活動が成功したことから、宮津さんは子供たちを支援する組織「シティエンジェルスくまもと」を設立することになります。現在では洗車クラブだけでなく、子供の性格や能力にあった活動に取り組ませているそうです。

 

洗車クラブなどの多忙な活動の中、宮津さんは無理がたたってか胃潰瘍を煩い、とうとう病院に入院してしまいます。しかし、この入院中に宮津さんが現在まで活動を続けるきっかけとなった運命的な出会いがありました。マザーテレサとの出会いです。宮津さんは入院中に「マザーテレサの祈り」という本を読んで、マザーテレサのことばの中に、自身の活動を認めてもらったと感じ、自分のやってきたことは決して間違いではなかったことを改めて認識したそうです。そして、自らの活動の必要性を再度強く感じ、ボランティア精神に再び目覚め、退院してから一層子供たちのために活動するようになったそうです。宮津さんは、このマザーテレサとの出会いがあったからこそ、現在の自分があるし、また今の活動があると強く語っておられました。

 

「シティエンジェルスくまもと」での印象的なエピソードとして、統合失調症の母親を持つ16歳の少年への支援について話していただきました。少年は病気の母親とうまくコミュニケーションがとれず、家に帰るのを嫌がり、友達や先輩の家に宿泊させてもらったり、公園やマンションの非常階段で野宿をしたりと、孤独な思いを抱え、半ばホームレス生活を送っていたそうです。あるとき、彼はどこからか宮津さんの活動や噂を聞きつけ、お店にやってきて宮津さんと話をするようになりました。彼は宮津さんと話をしていく中で、徐々に自身の家庭状況をも話すようになり、事情を知った宮津さんは自分の家で生活させることを彼に勧めます。最初は遠慮していた彼も、宮津さんが真剣に心配してくれる熱い気持ちにほだされ、最終的に4年間一緒に共同生活を送ることになったそうです。その彼も現在はアパートで生活し、きちんと働いて自立した生活を送っています。彼の母親の件でも、宮津さんは病院や役所に相談に行き、行政に援助を求めるなどの支援を行い、母親も幸せに生活をしているとのことでした。
驚くことに、宮津さんが言うには、このような子供たちや家庭環境は決して特別なものではないそうです。自分たちのごく身近にいる存在であり、そのような子供たちや家庭を支援していくには、常に周囲にアンテナを張って、彼らのような存在に気付いてあげることが大事なことだと仰ってました。

 

さらに宮津さんはこの他に、まちづくり「ふるさとクラブ」というボランティアグループを組織します。近年遊び場や、遊び方を忘れた子供たちに、遊びを通して子供を育てることを目的としてこの組織が作られました。このふるさとクラブの特長は、小さな子供たちのために、少し年齢が上の中・高生が主体となって遊びなどの行事を企画・運営している点です。クラブの活動は、「おにぎり池釣り大会」と称したバス釣り・カエル釣りなどの遊びの行事、その遊びの場所を守るための美化活動、また落書き消しや福祉施設などでのボランティア活動など、その内容は多岐に渡ります。
様々な年代の子供たちに、自然とのふれあいの場を提供し、遊ばせる技術や仲間の作り方などを子供たち同士で教え、学んでいくクラブであり、またボランティアにも参加させる一石三鳥の活動であると言えるでしょう。

 

最後に、宮津さんは「シティエンジェルスくまもと」と「ふるさとクラブ」の2つの活動から、地域で子供たちと関わっていくコツを話してくださいました。
いろんな子供がいて、それぞれ子供たちはいろんな問題(非行、不登校、障害等)を抱えているけども、どの子供も等しく大切な存在であり、保護者・学校だけではなく地域全体で支えて、遊ばせて、育てることが大事だと語ってくださいました。そしてそのためには、まず子供たちと上手にコミュニケーションを取ることが重要なのだそうです。その場合、自分たちは学校の先生ではないので、先生とは違う立場、以下の2つの立場で、子供たちとコミュニケーションをとると、うまく関わっていけると仰っていました。

 

1つは、子供たちと同じ目線に立って(兄や姉のような立場で)、一緒に何でも取り組んでいくこと。子供たちと一緒に楽しく遊んで、一緒に楽しく食べて、一緒に楽しく会話をして、一緒に楽しく笑って、一緒に楽しく考えることです。
そしてもう1つは、大人の目線に立って(親のような立場で)接すること。子供たちにいつも笑顔で接し(何でも相談できる関係を作る)、子供のアイデアを良く聞き(子供たちの発想や意見を大事にする)、子供たちが認められる機会をつくり(子供たちを社会とつなぐ)、子供たちで考えさせ(主体性を持たせるための組織作りを行う)、そして子供を叱るときはしっかりと真剣に叱ることだと言われていました。
特に最後の子供を真剣に叱るということは大事なことであり、またそれには保護者との信頼関係が構築されていないと誤解を招くおそれもあります。子供とだけでなく、保護者とコミュニケーションをとることも大事だし、必要に応じて勉強会を開いたりもしたそうです。

 

このように、時には兄・姉のような立場に立って、時には親のような立場に立って、子供と楽しく真剣に向き合うことが大切であり、子供と上手く関わっていくコツなのだそうです。 また宮津さんは「子供は両親よりも他人のほうが相談を持ちかけやすいということもあり、第3者のサポートが重要であるし、保護者もそれを必要としている」と話されており、だからこそ地域で子供を支える今の活動を続けることが大事だと感じておられるようです。

 

宮津さんはおよそ1時間半のお話の中で、いろいろな悩みや問題を持つ子供がいて、その環境も様々であるが、どの子供も大切なのは確かなことであり、学校・保護者・NPO・行政など地域全体で子供を見守り育てていかなければならないと、一貫して仰ってました。
今日の宮津さんのお話しを聞いて、人間関係が希薄になりつつある現代社会で、子供たちのために、とことん真剣に向き合い、そして楽しく子供たちと関わっていこうとする
宮津さんの姿勢と行動力に驚かされました。それと同時に、活動を通じて子供たちが良い方向に変化しているのは、宮津さんのような自分(子供)の人生に本気で関わってくれる大人がいてくれたからこそ、彼らも変わることができたのだと思います。私たちも、宮津さんの活動を見習って、ひとりひとりが地域のそして社会の一員として、少しでも子供たちの成長を見守り、育てていける存在になれるよう努力していきたいと感じました。
宮津さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。(文:黒木)

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