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活動レポート

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【スタッフレポート】平成30年度多職種連携セミナー

平成31年3月17日(日)

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3月17日(日)、熊本保健科学大学にて「小児在宅多職種連携セミナー」を開催しました。これは、熊本県委託事業「平成30年度小児訪問看護ステーション機能強化事業」に基づいて実施、子どもたちがお家での生活基盤を整えていくために必要な多方面の視点、多職種ならではの連携について学ぶ機会になればと開催しているものです。

今回は、フジテレビプロデューサーの藤野良太氏、NHO長良医療センター新生児科医長 寺澤大祐先生、NPO法人にこり理事長 松丸実奈氏、認定NPO法人NEXTEP相談支援専門員の古田絵美、慶応義塾大学大学院 健康マネジメント研究科教授 堀田總子先生、当事者ご家族から冨田利和氏をゲストにお招きし、小児在宅支援のその先について、それぞれご講演をいただきました。

 当日は藤野氏の「ドラマ『グッド・ドクター』から見えてきた世界」をテーマに講演が始まりました。小児医療や子どもを取り巻く問題をテーマにすることは、ときに苦しく、自分にできることは何もないのではないかと悩まれたそうです。しかし、エンターテイメントだからできることがあるはずだと一話一話、責任と使命感を持って誠実に作品を描いていかれた姿は、業種は違ってもとても大切なことを学ばせていただきました。
 「主人公のあたたかさが親子の苦しみを溶かしていく姿を通して、小児医療に携わる人へのエールになればうれしい。小児外科医のすばらしさが少しでも多くの人に伝わってほしい。」とおっしゃっていました。

 午後からは寺澤先生の「おうちへ帰ろう~NICUから在宅へ」をテーマにお話が始まりました。自宅に帰るための支えとして「家族のおもい」、呼吸や睡眠、栄養などの「医学的安定」と行政などの「社会資源」が大切であり、この3つが一致したときがおうちに帰るタイミングになるとおっしゃっていました。
 そのなかでも「家族のおもい」を満たすことは一番重要で、医師とたくさん話ができればそれが満足につながり、また自宅へ帰るとはどういうことなのかも見えてくる、と話しておられました。寺澤先生は時間ができるとご家族とお茶会をするそうです。長いときで3時間、ただご家族の気持ちを聞くだけのときもあるそうですが、その時間をとても大切にしておられました。
 また、自身も「きょうだい児」であり、障害をもって生まれた弟さんの話も聞くことができました。現在、弟さんは通っている施設で他の障がいのある方々と草木染商品を作っておられます。弟さんは左手しか動かせないそうですが、それならば「彼ができる仕事をつくればいい。」と弟さんの可能性を見つけてくださり今に至っているそうです。「彼は、彼の世界で笑い、喜び、全力で生きています。」そうおっしゃる先生の言葉を聞いて、今、私たちが関わっている子ども達にもそんな輝ける場所を作りたいと思いました。

 次は松丸氏の「おうちは楽しい~小児在宅での複合的サポート」をテーマにお話を伺いました。「にこりは、願いを叶えるチームです。」と話され、子どもたちや家族が望むことを常に考え、できない理由を解消し楽しいを提供しておられました。
 余命数週間のお子さんがアンパンマンミュージアムへ行かれたときは、感染症が心配だからと、特別に閉館後に入館されたそうです。また、必要だと思えば、「コミュニケーションロボットおりひめ」や「デジリハ」を取り入れるために行動するなど、その子の楽しいを実現するための行動力にとても感銘を受けました。

 そのあとは、NEXTEP古田から「おでかけしよう~相談支援のその先に~」をテーマに話がありました。保育園や学校に通うためには1~2年前から準備をしていること。病院の先生や保健師さん、行政や教育機関など周りとの関わりが重要で、継続的に話し合いを続け、その子の可能性や育ちを一緒に共有していくことの大切さを学びました。子どものニーズ、家族のニーズをきちんと拾い上げ、本当の困りごとはなんなのかを見極め、与えるだけの支援にならないよう気をつけていることもわかりました。
 また、昨年9月には「ファミリーキャンプ」を開催し、北海道と愛媛の障がいのあるお子さんとそのご家族を熊本へ招き、ボンボンでの2泊3日のキャンプをして過ごした話も聞きました。

 最後に「地域包括ケアと地域で成長していく子どもたち」をテーマにシンポジウムが行われました。その前に、話題提供としてALSのお子さん2人の父親である冨田氏がお話をされました。長男が現在小学校2年生で地域の小学校に通っておられますが、そこへ至る経緯を家族の思いと共に語ってくださいました。
 そして、堀田先生をコーディネーターとして、全登壇者とのそれぞれの立場で意見が交わされました。堀田先生は「小児在宅の方は初心者」なので・・・とおっしゃっていましたが、介護の分野では高い知識と経験をもっておられます。時間がかなり押していたため、あまり堀田先生の話を聞くことができず残念でしが、また別の機会でいろいろなお話を聞きたいと思いました。

 今回のセミナーを通して感じたことは、子ども達が地域で自分らしく楽しく過ごすことができるには、その子を取り巻く周囲の人たちの「この子に幸せになってほしい。」という思いと行動が不可欠だということです。地域によって、住みやすさが違うのは、やはり子ども達の幸せを願い行動を起こし制度を変えた人達がいたからだと思います。自分には何ができるのか、どうすれば多様性を認め合う社会が実現できるかを考え、子どもたちの幸せのために行動していきたいと思いました。

【開際情報】
日時:平成31年3月17日(日)
会場:熊本保健科学大学
後援:熊本大学病院 小児在宅医療支援センター
   熊本保健科学大学 地域包括連携医療教育研究センター

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