不登校児サポート
「フィールド」
本事業がスタートしたキッカケは、「不登校児問題」に端を発しています。不登校児数は、現在18万⼈(令和元年度)を超えると⽂部科学省の問題⾏動‧不登校調査で発表されています。
調査によると7年連続で増加しており、時折り話題にはなるものの学校や家庭だけではまだ充分な対応が出来ていないのが現状です。また、不登校といってもその原因や背景は様々であるため、地域全体で取り組むべき問題と考えられます。
熊本でも様々な団体による⽀援が⾏われていますが、⼦どもたちやその保護者は多くのサポートを必要としている状況です。そこで、そのような⼦どもたち、そして家族のサポートの⼀つとして、NEXTEPでは農作業体験による不登校児サポート事業を⾏っています。
園芸療法を取り入れた
「わくわく農作業体験」
主に合志市にある畑での農作業体験です。毎⽉1回、最終⽇曜⽇の9時〜15時の時間で、地域の協⼒者からお借りした畑で活動をしています。
午前中は農作業をおこない、野菜の植え付けや収穫をします。お昼になると採れた野菜を使って、みんなでご飯を作りわいわい⾔いながら⾷べます。時には、ピザ窯でピザを焼いたり、夏には⽵を割って流しそうめんをしたり、七⼣飾りづくりをしたり、年末には餅つきなどをすることで、体で、肌で、⾃然や四季を感じながら仲間と⼀緒に楽しく過ごすことを⼼がけています。参加者は、不登校児を含む⼩学校〜中学校の⼦どもたち、その家族、スタッフ、そして農家をされている協⼒者などを含め、毎回20名程で活動しています。
「園芸療法」とは
農作業体験には、園芸療法の考え⽅を取り⼊れています。植物を育てていく過程で、⼟を触る‧植物の⾊を⾒る‧匂いを嗅ぐ‧⾷べる‧⾵の⾳を聞くなど、⾃然を楽しみながら五感を養うことができます。また、作業を通して、座ったり⽴ったり歩くことでの作業訓練の効果もあります。もしくは作業の中で数字を使うことで算数を学んだり、植物や⽤具の名前や使⽤⽅法を覚えたりするなど、社会で⽣きていくための学習にもつながっていきます。
園芸療法の最⼤の⽬的は、参加者たちが⾃分たちで植物を管理していくこと。⾃分たちの⼿で育てていくという責任感‧役割を⾒出すこと。⾃分たちの活動の場があり、周りから認められることで⾃分に誇りを持つことができます。
〈⽬的‧ねらい〉
この事業は2005年にスタートし、園芸療法の考えを取り⼊れて実施している農作業体験、また、様々なゲストを招いての保護者向け勉強会を並⾏して⾏っています。継続して参加している⼦どもたちには笑顔が多くなり、登校状況が改善され、精神的に落ち着いてくるといった変化も現れています。また、以前参加していた⼦どもたちの中には、農作業体験を卒業後、⾼校、専⾨学校などへの進学した⼦どもたちもいます。保護者の⽅も⼀緒に活動に参加することでリフレッシュできているようです。
⼦どもたちにはフィールド活動に参加することで、⾃然体験と多世代との交流を通して、⼤⼈になる、社会へ出るといった「希望」を育んで欲しい。学校へ⾏くことを直接の⽬標とはせずに、時間をかけて⼦どもたちと関わることで、学校や家庭とは別のイキイキと過ごせて楽しめる「居場所」を作りたい。⾃然体験や宿泊体験を⼀緒におこなうことで協調性やコミュニケーション能⼒など、広い意味で「こころの成⻑」を得られる場所でありたい。
不登校や引きこもりの⼦どもたちは、何か⾃分に変化を求め「⼀歩を踏み出そう」と思っていても、いきなり学校や社会に出るのはハードルが⾼いものです。そういった⼦どもたちが、学校や社会へ復帰する前の、“次の⼩さな⼀歩”(NEXTEP)を踏み出す場<フィールド>になれば良いと考えています。
〈実施体制〉
スタッフは活動歴5年以上のメンバーを中⼼に社会⼈、⼤学⽣、⼩児科医などの多職種、多年代で構成されています。様々な視点で活動を作り上げているため、⼦どもたちに良い刺激になっています。
毎回活動後にはスタッフ内で振り返りの時間を設けるなど、その⼦の個性に注⽬し、時間をかけて⼦どもたちの成⻑を⾒守っています。活動に参加してそれぞれに仲良くなっていくことで、家族以外になんでも相談が出来るお兄さん、お姉さん的な存在になれればと思っています。活動を続けることで、個別の関係性が出来上がっていき、⼦どもたちが社会に出ても関係性が続いていくことを⽬指しています。
活動時期 |
前期4月~9月 後期10月~3月(月1回開催) |
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活動内容 |
農業(有機野菜栽培)を中心とした自然体験(川遊び、山登り、キャンプ、天体観測、水源訪問)などの年中行事。農作業体験活動や、旬の食材の調理を通して自然にふれあい、成長していく子供たちの姿を見守る。 |
活動場所 |
熊本県合志市の畑、熊本県内のキャンプ場 他 |
対象 |
不登校や心身症の子供たち(7~8名)一般参加者(約10名) |
年間スケジュール |
前期・後期の2シーズン制 |
前期スケジュール(4月~9月)
※前期スケジュール例です。
4月 | 土づくり、ジャガイモ植え、ピザ窯作り |
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5月 | 夏野菜植え(トマト、茄子、唐辛子、ピーマン、かぼちゃ、スイカ、ゴーヤなど) |
6月 | 夏野菜植え(とうもろこし、大豆、サツマイモなど)、ヒマワリ種まき |
7月 | ジャガイモの収穫、カレー作り、七夕飾りづくり |
8月 | 夏キャンプ(川遊び・海遊びなど)、夏野菜の収穫、花火、バーベキュー |
9月 | 冬野菜植え(大根、ニンジン、ゴボウ)、夏野菜の収穫、流しそうめん |
後期スケジュール(10月~3月)
※後期スケジュール例です。
10月 | サツマイモ・里芋の収穫、芋料理 |
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11月 | 土づくり、大根、人参の収穫 |
12月 | もちつき、しめなわ作り |
1月 | ブルーベリー苗の手入れ |
2月 | 冬キャンプ |
3月 | 春野菜の植付 |
〈フィールドの活動に参加した方の感想〉
自然に触れ子供や大人の方と接してもらうことで色々な勉強になっており精神的に少しは強くなってきていると思います。
親子共、毎回楽しく過ごさせてもらっています。自然と触れ合うことの大切さも感じています。
フィールド活動に参加して自然の中で子どもたちは癒されました。子どもを完全におまかせしてくつろげて本当によかったです。
初めて活動して、自然と触れ合えてよかったです。料理を作って食べて、楽しかったです。菜の花が持って帰れるので嬉しいです。
初めて農業体験させて頂いて、とても楽しかったです。子どもたちの元気さに圧倒されつつも、自分も自然と楽しめていました。今後もぜひ参加させて頂きたいです。
保護者サポートの勉強会・親の会
保護者向けの勉強会、あるいは話し合いの場を設けることで、悩みを抱え込み孤立しがちな親のサポートを行います。
活動時期 |
年2回~3回 |
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活動内容 |
年に1~2回程、医療・教育現場で不登校問題に取り組んでいる方を講師に招き、勉強会を行っています。また、年2回、農作業体験参加者の親のみによる意見交換会(親の会)も開催しています。 |
活動場所 |
熊本県民交流パレア 他 |
対象 |
農作業体験に参加している保護者、その他の不登校の親、医療・教育関係者、関心をお持ちの方 |
〈活動への参加⽅法〉
まずは活動の雰囲気を味わっていただく意味で、単発で参加をいただく事が出来ます。
定期的なご参加に向けては、スタッフから活動詳細のご説明をいたします。
活動案内をご希望される⽅は、下記の案内メールにご登録下さい。
〈案内メールへの登録について〉
希望される方へは月1回程度、活動案内メールをお送りしています。毎月の農作業体験や、勉強会等の日程をお知らせします。興味のある方はお問い合わせメールフォームにフィールド部門案内メール希望とご記入の上送信して下さい。