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活動レポート
道化的発送で築く、豊かなコミュニケーション
2005年03月21日 更新



◎日 時: 2005年3月21日(祝) 14:00~17:00(13:30~開場)
◎場 所: くまもと県民交流館パレア 第一会議室 (熊本市手取本町8-9)
◎参加費: 一般 2,000円 会員 1,000円
◎講 師: 塚原成幸氏(つかはらしげゆき)=道化師
◆講師プロフィール
塚原成幸氏(つかはらしげゆき)=道化師
PACKMAN1967年東京都生まれ。長野県塩尻市在住。長野大学入学を機に信州に移り住む。卒業と同時に移動劇場『ストーリーシアター道芸』を旗揚げする。
その後、オーストラリアやアメリカで道化師芸の基本を学び、現在、クラウンとして全国各地で上演を続けている。
市民を対象に「道化的発想」を伝えるための『体験講座』や『あそび塾』を開講し、受講生はそれぞれ自主サークルをつくるなど、草の根文化に一役買っている。また、ライフワークとして1995年より神戸の復興支援活動にかかわり、まちづくりや住民回帰事業に協力している。特に、笑い・愛情・ユーモアを医療や福祉の分野に取り入れる“ケアクラウン”という分野に力をいれており、ケアリングクラウン、ホスピタルクラウンのトレーナーもしている。
2004年夏、パッチ・アダムス2004ジャパンツアーで信州実行委員長を務めたことが熊本との交流のきっかけとなった。
事後レポート
●はじめに
コミュニケーションの原点として、自分自身の様々な可能性、特に道化性についての可能性を発見してもらい、今日のワークショップが終了した時には、色んなことを引き起こす迷惑な存在であるかもしれない自分を少しでも愛せるような気持ちになって帰ってもらいたい。
●コミュニケーションの基本
豊かなコミュニケーションの基本は「楽しい」ということ。体と気持ちの緊張をほぐすためにミッキーマウスマーチに合わせて体操をした。ペアになって相手の動きを観察することで一方的ではない働きかけの大切さを感じた。また、背中合わせで相手の息づかいを感じることという行動では、日常生活において物や言葉にたよってしまうために、感覚を信じることが失われつつあることを学んだ。
●風船で遊ぶ
風船を手にすると、皆、膨らませようとする。これは何かを見たら「こうするもの」と考えてしまい、発想ががんじがらめになる。風船が膨らまなかった時、苦手であると感じてしまい敬遠する。このようなことが日常生活でも多いのではないか。風船を延ばして飛ばす、延ばした風船を弾いて音を出す、膨らませた風船の空気を抜きながら音を出すなど色々な遊び方がある。人間関係でも、その人が持っている性質に何かを課すのではなく、持っている性質や力を十分に引き出すことが大切である。
風船を膨らませて手を放すと風船が飛んでいく。この風船をキャッチしようとする動きはコミカルな動きであるが、作られた動きではない。本来は風船を追いかける動きのような面白い動きをすることができるのに、それを意識して表現しようとすると、育ってきた環境などが邪魔をする。皆、面白い動きをすること が出来る可能性を持っていることを知っておいてもらいたい。自由な動きを邪魔しているのは『判断をすること』。判断をすることは自分の身を守っていく上ではとても大切なことだが、遊びの世界では大敵。判断をすることによって失われてしまう部分もあるのではないか。
風船とはシンプルな道具だが、多くの遊びができる。そう考えると、皆が持っている可能性は比べものにならないほど大きい。しかし、生活をしていく上では、自分のキャラクターを作って、そのキャラクターとして存在している方が快適である。自分達は無限の可能性をもっていることに気付き、その可能性を育てることでコミュニケーションの幅を広げる事ができる。
●笑いについて
動物学的にはヒト以外に笑う動物はいないと言われている。サルは「笑い」に近い「グリフェイス」という表情をする。笑いは体の緊張をほぐして、顔の表情筋を緩ませることによって作られるが、サルはこの両方ができる。しかし、グリフェイスは相手に対して攻撃をしないというサイン。最近は、ヒトの笑いも自己防衛策の対処方法であるグリフェイスに近くなっているのではないかと危惧している。生きている実感ととても密接に関わっている笑顔をグリフェイスのように自分自身を守るために使っていきたくない。
●どんな時に笑っていますか?
笑いは社会や周囲との関係性の中において育まれていく。自分が笑っていないなぁと感じる時は社会や親しい人との関係、自分の健康のバランスが揺らいできている時かもしれない。また、医学的にも笑いが健康に及ぼす効果が立証されてきている。忙しい現代の中で、周囲との関係性も深まり、自分の健康にもよい笑いを大切にして欲しい。
●笑いを実行するには
笑いを取り入れるときに笑いのネタを考える人がいる。ネタやテクニックで笑いを作るということは、自分にとっての絶対的な武器をちらつかせるようなものであり、これでは本当のコミュニケーションをとることは出来ない。大切なのはネタではなく、発想であり、オープンな自分自身の本当の気持ちである。
●笑いの法則
(1)物体や人が予想外の行動をするとおもしろい
(2)予想外のところにあるとおもしろい
(3)予想外のサイズだとおもしろい
この3つの法則は世界中のコメディ映画などで何年も前から使われている。国や時代、製作者がちがってもこの3つの法則が基本となり、これが世界の笑いのツボとなっている。
この法則のキーワードは『予想外』。この予想外の出来事は、世界中の人を笑わせているが、自分の生活の中に起こることは歓迎されていない。しかし、本来は「笑える素材」であるのだから、気持ちに余裕があると楽しんでいく力に転換することができる。道化的発想ということを学んで、自分の身の回りで起こる予想外の出来事も楽しむ発想を養っていって欲しい。そうすると相手に対する許しの幅も広がっていく。許せないと感じるのは自分の範疇を超えている予想外の出来事だからである。自分の幅を広げていくことが豊かなコミュニケーションの第一歩となるのではないか。
●クラウニングの基本
周りの人の動きなどを気にせずに、自分の感覚で「出された課題」の通りに動いてみる。例えば、皆が男性になりきって歩く、女性になりきって歩く。表現するのが苦手だからやめておこうというのではなく、苦手や不器用をプラスに変えていくことが道化的発想の第一歩。相手(異性)のことを掴むのはコミュニケーションの基本であり、異性の動きをみることで、自分の立場がどのように見られているのかも知ることができる。
次に、「つまずく」という動きを再現してみた。人生の中でつまずいた経験をしたことがない人はいないはずだが、再現しようとすると難しい。これは、つまずくことのように「はずかしい記憶」「格好悪い記憶」は消去の対象となる。意識していないところで消してしまおうとしていることが、私たちの生活を窮屈にしていることがある。
●お互いに関わる
相手を楽しませたり、人と関わる仕事をするといったことは得意な人でも、相手に関わられるのは苦手な人が多い。相手から関わられること、自分が弱い立場になり相手に受け止めてもらおうとすることも大切である。現代社会では無防備で人の中に飛び込んでいけば痛い思いをすることになる可能性もあり、自然に防衛策をとってしまいがち。しかし、時には完全に自分自身を解放して相手に身を任せてみようということも良いコミュニケーションをとっていくためには重要なことである。
●目を閉じて人の動きを感じる
目が開いている状態では、色々な感情が働いて、上手く相手の動きを感じることができない。しかし、目を閉じて、持っている気持ちを集中していくと相手の動きを掴むことができる。目を開けている方が情報量は多いはずだが、目を閉じて、耳を傾け、心を向けていくと、本来持っている感覚が研ぎ澄まされる。コミュニケーションをとる上で、便利さを求めるために色々なツールを使っているが、体の機能や感覚をもっと使うことが大切なのではないか。
●最後に
得意、不得意ではなく自分自身の可能性を耕すことによって、もっと円滑なコミュニケーションが図れることを感じてもらいたい。
☆塚原さんの楽しいワークショップを経験し、参加者は皆、笑顔で帰っていかれました。今回の研修だけに留まらず、日常の暮らしの中で取り入れて、家族や友人との関係を大切にしていきたいと感じました。塚原さんは4月から1ヶ月間、研修でオランダに行かれます。オランダでの話も聞かせていただきたいので、第二弾を企画したいと思っています♪
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