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訪問看護見学後のレポート25

2014年01月20日 更新

◎日 時: 2013年12月24日
◎参加者: 病院看護師

 

<見学を終えて感じた事>

今回、私が訪問看護見学を希望した理由は2つある。1つ目は、単にGCUを退院した児たちのその後が知りたかったから。2つ目は、入院生活で余命何カ月、何年と言われた児たちがなぜ在宅移行後すこやかに生活できているのかという理由である。

 

私がそう思うようになったきっかけは、GCU時代に担当していた1人の女児である。彼女はGCU生活時代、筋緊張が強く不随意運動によって気管切開部のカニューレ固定が維持できず、日に何度もHR・SpO2を下げ、モニターや呼吸器アラームを鳴り響かせる生活を送っていた。医師や退院調整Nsたちからは、“帰るなら今しかない。あと何カ月生きられるか…”と言われていた。しかし、そんな言葉を跳ね除け彼女はいま生きている。

 

退院支援病院を退院後、彼女のもとを私は2度訪れた。彼女は風通しの良い窓際にベッドを置き、衣類や掛物などすべて母の手作りのものを纏い過ごしていた。部屋の壁やベッド周囲は可愛く飾られ、彼女が使用する生活器具には父がデザインした彼女のシールが貼られるなど、両親の深い愛情とともに彼女が過ごしやすい空間の工夫が感じられた。また、家で過ごす彼女は、病院にいる時の彼女とは全く異なり穏やかであった。表情は柔らかく身体の緊張はない。関節可動域も広く、肌もふっくらモチモチであった。これこそが本来彼女があるべき姿であり、両親や家族に囲まれ自宅で過ごす彼女はとても充実しているように窺えた。

 

12月24日Xmasイブ、2軒の訪問看護に同行し見学させて頂いた。1軒目の女児(Aちゃん)も2軒目の男児(Bくん)もGCU出身とのことだった。

 

1軒目のAちゃんはGCU時代、泣いて呼吸を止めるため常に鎮静をかけられていた。特に、静かに全身に力を入れて泣き始めることから、スタッフの目が届くようにとGCU中央にベッドが配置されていた。面会は、母の体調や父の仕事の都合で少なく、時間も限られていた。さらに、両親の表情も硬く退院後の児の受け入れが心配されていたケースであった。退院支援病院を経て自宅で過ごす彼女は、GCUで私が見ていた彼女とは全く違っていた。泣いて呼吸を心配させることは同じであったが、家族のにおいを嗅ぎ、温もりに触れ、両親兄弟の愛に包まれ、家族と同じ空間で過ごす彼女はとても穏やかな表情をしていた。訪問看護師の中本さんに、彼女の誕生日が来る度に母は余命のカウントダウンをしていると伺った。しかし、余命に縛られる両親の思いとは反対に、家族とともに過ごす空間を大切に生きようと頑張っている彼女の姿が窺えた。また、母の姿もとても印象的であった。GCU時代は、Aちゃんのケアを恐れているようで、不安の塊と表せるかのような頼りない印象であった。しかし今回の訪問で、母の力強さとAちゃんへの愛情を再確認することができた。入浴中もAちゃんの呼吸状態を見極め、止まっていれば呼吸がしやすいような体勢を作っていた。その他のケアも恐れることなく、母のやり方で手際よくされていた。

 

2軒目は長時間訪問。母がBくんの状態の変化を感じ、脱臼や骨折をしているのではないかと心配されていた。訪問してすぐに、母の心配する左下肢の状態観察が始まった。訪問看護師の中本さんがBくんの下肢の動きや色、循環、関節可動域の観察を行い骨折や脱臼はしていないと判断し母へ伝えると、安堵の表情をみせられた。日中の大半の時間を児とともに過ごし、如何なる場合も自分で判断し対処しなければならない母の精神状態は想像を超えるものである。実際付きっきりでケアをしている母(や父)にとって、訪問看護中の息抜きはなくてはならない時間であると感じた。長時間訪問では、母が用事や買い物に行っている間の託児も兼ねていた。託児中は、絵本の読み聞かせやカード遊びによる数の勉強、おもちゃによる上肢運動など五感を使った遊びを展開していた。Bくんは言葉を発することはできないが、周囲の音をしっかり聞き、見て、意思表示をはっきり眼球の動きで表現していた。Bくんのケースを通して訪問看護は、医療行為を行う看護ケアだけでなく、児の成長発達段階に応じた関わりも重要であるということを学んだ。

 

ステップ♪キッズは児の状態や家族の都合に合わせて、平日毎日の訪問や週に数回の訪問、短時間・長時間訪問を受け付けている。また、電話相談も24時間対応されており、利用者にとってなくてはならない存在であると感じた。また、訪問看護師として、児の体調管理・観察はもちろん、ケアの方法は各家庭のやり方で行い、主にケアに当たる家族(母)の精神的サポートが重要であると学んだ。訪問中は、どちらの家庭もずっと母が尽きることなく中本さんに話しかけられていた。1日のほとんどを児と2人きりで過ごし、気が抜けない状況を脱してくれる唯一の時間が訪問看護中である。訪問看護師に求められるものは医療知識・技術・経験だけでなく、介護者の心のケアやサポート、児の成長・発達過程に応じた教育や遊びも重要であるということを見学を通して学ぶことができた。

 

訪問看護見学を終えて、私は当初思っていた疑問をもう一度振り返ることができた。何故、入院中余命を決めつけられるのか。面会制限のある病院でたった数時間ほどしか両親と触れ合えず、1日のほとんどを代わる代わる看護師たちに触れられ、モニターや呼吸器などのアラームが鳴り響く騒々しい環境の中で生活することは、彼らにとって多大なストレスである。強いストレス環境の中で生活することは、寿命を縮める要因とも言える。治療のために彼らは入院生活を強いられているが、彼らは成長・発達をしている子どもである。今回の見学で出会った彼らから、私は在宅生活の貴重さを教えてもらった。そこで、治療をしながらも家族を感じられる環境づくり、一人ひとりの訴え・思いを感じ取れる環境づくりなど、ストレス環境を少しでも軽減できるような態勢づくりが病院の今後の課題ではないかと感じた。最後に、今回、訪問看護見学を受け入れて下さったステップ♪キッズの皆さま、利用者の皆さまに深く感謝します。ありがとうございました。

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