本事業がスタートしたキッカケは、「不登校児問題」に端を発しています。不登校児は、現在12万人(平成25年度)を超えると言われていますが、その数だけが強調され、具体的な解決策は見つかっていません。また、不登校といってもその原因は様々で、学校や家庭だけでは解決するのは難しく、地域全体で取り組むべき問題と考えられます。
熊本でも様々な支援が行われていますが、今だ子どもたちやその保護者は、多くのサポートを必要としている状況です。そこで、そのような子どもたち、そして家族のサポートの一つとして、NEXTEPでは不登校児サポート事業を行っています。
目的・効果(ねらい)
この事業は2005年にスタートし、園芸療法の考えを取り入れての農作業体験、また、様々なゲストを招いての保護者向け勉強会を並行して行っています。継続して参加している子供たちには笑顔が多くなり、登校状況が改善され、精神的に落ち着いてくるといった変化も現れています。また、初期に参加していたこどもたちの中には、農作業体験を卒業後、高校、専門学校などへの進学した子供たちもいます。保護者の方も活動に参加することでリフレッシュできているようです。
不登校や引きこもりの子どもたちは、何か自分に変化を求め「一歩踏み出そう」と思っていても、いきなり学校や社会に出るのはハードルが高いものです。そういう子どもたちが、学校や社会へ復帰する前の、“次の小さな一歩”(NEXTEP)を踏み出す場になれば良いと考えています。
活動内容
園芸療法※を取り入れた「わくわく農作業体験」
主に合志市にある畑での農作業体験です。毎月1回、第4日曜日の朝9時~15時まで、農家の協力者からお借りした畑で、午前中に農作業をします。
お昼になると採れた野菜を使って、みんなでご飯を作りわいわい言いながら食べます。時には、ピザ窯を作ったり、竹を割って流しそうめんをしたり、七夕飾りづくりをしたり、年末には餅つきなどをすることで、体で、肌で、自然や四季を感じながら仲間と一緒に楽しく一年を過ごすことを心がけています。 参加者は、不登校児を含む小学校~中学校の子どもたち、その家族、スタッフ、そして農家をされている協力者などを含め、毎回20名程で活動しています。
※園芸療法とは
農作業体験には、園芸療法の考え方を取り入れています。植物を育てていく中で、土を触る・植物の色を見る・匂いを嗅ぐ・食べる・風の音を聞くなど、自然を楽しみながら五感を養うことができます。また、作業を通して、座ったり立ったり歩くことでの作業訓練の効果。もしくは作業の中で数字を使うことで算数を学んだり、植物や用具の名まえや使用方法を覚えるなど、社会で生きていくための学習にもつながっていきます。
園芸療法の最大の目的は、参加者たちが自分たちで植物を管理していくこと。自分たちの手で育てていくという責任感・役割を見出すこと。自分たちの活動の場があり、周りから認められる事で自分たちに誇りを持つことができます。
活動時期 | 前期4月~9月 後期10月~3月(月1回開催)
※原則第4日曜日を候補日として調整の上実施 |
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活動内容 | 農業(有機野菜栽培)を中心とした自然体験(川遊び、山登り、キャンプ、天体観測、水源訪問)などの年中行事。農作業体験活動や、旬の食材の調理を通して自然にふれあい、成長していく子供たちの姿を見守る。 |
活動場所 | 熊本県合志市幾久富の畑、熊本県内のキャンプ場 他 |
対象 | 不登校や心身症の子供たち(7~8名)+一般参加者(約10名) |
年間スケジュール | 前期・後期の2シーズン制 |
前期スケジュール(4月~9月)(例)
4月 | 土づくり、ジャガイモ植え、ピザ窯作り |
5月 | 夏野菜植え(トマト、茄子、唐辛子、ピーマン、かぼちゃ、スイカ、ゴーヤなど) |
6月 | 夏野菜植え(とうもろこし、大豆、サツマイモなど)、ヒマワリ種まき |
7月 | ジャガイモの収穫、カレー作り、七夕飾りづくり |
8月 | 夏キャンプ(川遊び・海遊びなど)、夏野菜の収穫、花火、バーベキュー |
9月 | 冬野菜植え(大根、ニンジン、ゴボウ)、夏野菜の収穫、流しそうめん |
後期スケジュール(10月~3月)(例)
10月 | サツマイモ・里芋の収穫、芋料理 |
11月 | 土づくり、大根、人参の収穫 |
12月 | もちつき、しめなわ作り |
1月 | ブルーベリー苗の手入れ |
2月 | 冬キャンプ |
3月 | 春野菜の植付 |
フィールドの活動に参加した方の感想
自然に触れ子供や大人の方と接してもらうことで色々な勉強になっており精神的に少しは強くなってきていると思います。
親子共、毎回楽しく過ごさせてもらっています。自然と触れ合うことの大切さも感じています。
フィールド活動に参加して自然の中で子どもたちは癒されました。子どもを完全におまかせしてくつろげて本当によかったです。
初めて活動して、自然と触れ合えてよかったです。料理を作って食べて、楽しかったです。菜の花が持って帰れるので嬉しいです。
初めて農業体験させて頂いて、とても楽しかったです。子どもたちの元気さに圧倒されつつも、自分も自然と楽しめていました。今後もぜひ参加させて頂きたいです。
保護者サポートの勉強会・親の会
保護者向けの勉強会、あるいは話し合いの場を設けることで、悩みを抱え込み孤立しがちな親のサポートを行います。
活動期間 | 年2回~3回 |
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活動内容 | 年に1~2回程、医療・教育現場で不登校問題に取り組んでいる方を講師に招き、勉強会を行っています。また、年2回、農作業体験参加者の親のみによる意見交換会(親の会)も開催しています。 |
活動場所 | 熊本県民交流パレア 他 |
対象 | 農作業体験に参加している保護者、その他の不登校の親、医療・教育関係者、関心をお持ちの方 |
参加方法
まず雰囲気を味わっていただく意味で、単発で参加をいただくことが出来ます。スタッフから活動の詳しいご説明を致します。
案内メールへの登録について
希望される方へは月1回程度、活動案内メールをお送りしています。毎月の農作業体験や、勉強会等の日程をお知らせします。興味のある方はお問い合わせメールフォームにフィールド部門案内メール希望とご記入の上送信して下さい。